
中絶後、自分の性格が別人になってしまったような気がしていませんか?
怒りっぽくなった、
何もやる気が出ない、
人と関わるのが億劫になった
これを「意志が弱いから」「気持ちの問題だから」と、ずっと自分を責めてきたなら、その解釈は間違っています。
中絶後、性格が変わったように感じるのは、あなたの脳と神経系が体験に正直に反応した結果です。
これは意思の弱さでも異常でもありません。
この記事では、
中絶後に性格が変わるのはぜか?
それはいつまで続くのか?
パートナーとの関係にどう影響するのか?
根拠とともに整理しています。
中絶後に「性格が変わる」のはあなただけではない

中絶後に性格が変わったと感じる人は少なくありません。
・怒りっぽくなる
・無気力になる
・人を避けるようになる
といった変化は、多くの人が経験しているものです。
このセクションでは、変化の実態と「中絶のせいにしていいのか」という躊躇の正体を整理します。
中絶後に起きやすい「性格の変化」
中絶後に「自分の性格が変わった」と感じる人が経験しやすい変化には、以下のようなものがあります。
- 以前は気にならなかった言葉や出来事で、激しく怒る・傷つくようになった
- 好きだったことへの興味や意欲が突然なくなった
- 友人・彼氏との関わりが億劫になり、距離を置くようになった
- 感情が鈍くなり、楽しいはずの場面でも何も感じなくなった
- 特定の日付や場所・匂いで、突然気分が沈む
これらはすべて、中絶後にトラウマ反応やグリーフ反応として現れやすい変化です。
「自分の性格が悪くなった」のではなく、心と神経系が体験に反応している状態といえます。
「中絶のせいにしていいのか?」という躊躇が回復を遅らせる
「自分で選んだのだから、中絶のせいにするのはおかしい」
そう感じている人は多いです。
しかしこの躊躇こそが、回復を最も妨げる要因のひとつです。
選択の有無と、心理的な影響の有無は別の問題です。
自分で決めた体験であっても、喪失を伴う体験には悲嘆(グリーフ)が生じます。
「中絶のせいにしていいのか?」という問いを抱えている限り、感情の処理は止まったまま進みません。
変化の原因を正確に認識することが、回復の出発点になります。
【中絶後、性格が変わる本当の理由】意志の弱さでもなく、脳と神経系の反応

中絶後に性格が変わったように感じるのは、意志が弱いからでも、感情のコントロールができないからでもありません。
トラウマ体験の後、脳と神経系が自動的に変化するために起こる反応です。
このセクションでは、その仕組みを具体的に説明します。
中絶というトラウマ後に脳と神経系に何が起きているのか?
トラウマ体験の後、脳の扁桃体(へんとうたい)と呼ばれる部位が過剰に活性化します。
扁桃体とは、危険を感知して感情反応を引き起こす脳の部位です。
トラウマ後はこの部位が敏感になり、日常的な出来事にも強い感情反応が起きやすくなります。
同時に、感情の調整や判断を担う前頭前皮質の働きが低下します。
これにより
「怒りを抑えられない」
「やる気が出ない」
「判断ができない」
といった変化が起こります。
これは性格の問題ではなく、神経系レベルで起きている生理的な変化です。
(van der Kolk, 2014『身体はトラウマを記録する』)
「心が自分を守るモード」に入るとはどういうことか
トラウマ体験の後、神経系は「再び傷つかないように自分を守る」状態に移行します。
これを専門的には「過覚醒(かかくせい)」または「低覚醒」と呼びます。
過覚醒の状態では、些細な刺激にも敏感に反応し、怒りや不安が爆発しやすくなります。
一方、低覚醒の状態では感情が鈍くなり、無気力・解離・引きこもりといった反応が現れます。
怒りっぽくなるタイプと無気力になるタイプがいるのは、同じ「守るモード」が異なる方向に働いているためです。
グリーフ(悲嘆)が処理されないまま残ると、何が起きるか
グリーフとは、喪失体験の後に生じる自然な心理的反応の総称です。
通常、グリーフは時間とともに段階的に処理されます。
ですが、中絶の場合は「悲しんでいい喪失かどうか」が社会的に承認されにくいため、プロセスが途中で止まりやすいです。
処理されないまま残ったグリーフは、慢性的な怒り・無気力・感情の鈍さとして表面化します。
「性格が変わった」と感じる変化の多くは、止まったグリーフが形を変えて現れているものです。
時間が経っても変化が続く理由は、ここにあります。
中絶後、性格が変わるパターンの正体

中絶後の起こる性格の変化には、大きく3つのパターンがあります。
自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで、変化の意味を理解しやすくなります。
どのタイプも、心が体験に正直に反応している状態です。
①怒りっぽくなるタイプ(小さなことで傷つく・感情が爆発する)
以前は気にならなかった言葉や出来事で激しく怒る、
涙が止まらなくなる、
感情が突然爆発する
このタイプは「過覚醒」状態の神経系が引き起こす反応です。
怒りは悲しみや無力感が変換された感情であることが多く、
「本当は深く傷ついているが、それを認めることができないために怒りとして出てくる」
という構造を持っています。
「怒りっぽくなった自分が嫌だ」と感じるほど自己批判が強まり、さらに感情が不安定になるという悪循環に陥りやすいです。
②無気力・感情が鈍くなるタイプ(好きだったことへの興味が消えた)
音楽・料理・友人との会話など、以前は楽しめていたことへの興味が突然なくなる。
楽しいはずの場面でも、どこか遠くから眺めているような感覚がある。
このタイプは「低覚醒」状態の神経系が引き起こす反応です。
これは「解離(かいり)」と呼ばれる心理的メカニズムによるものです。
感情の痛みが大きすぎる時に神経系が感情の感度を自動的に下げることで起こります。
「やる気がない自分が情けない」と感じやすいですが、これは意志の問題ではなく、心の自動防衛機能です。
③人を避けるタイプ(関係を遠ざけることで無意識に自分を守っている)
友人からの誘いを断るようになった。
パートナーと話すのが億劫になった。
職場での雑談が苦痛になった。
このタイプは、人との関わりがトラウマのトリガーになっているために起こる回避反応です。
特に、
・中絶のことを知っている人
・知らない人
その両方が、異なる理由でトリガーになります。
知っている人には「どう思われているか?」が怖く、知らない人には「気づかれるかもしれない」という緊張が生まれます。
人を避けることは弱さではなく、神経系が「安全を確保しようとしている」サインです。
「元の自分に戻りたい」中絶後、性格が変わったあなたに知ってほしいこと

「いつか元の自分に戻れるのか?」
という問いは、中絶後の性格の変化を経験した人が最も繰り返す問いです。
結論として、回復に決まった期限はなく、回復の形は「元に戻ること」とは少し違います。
このセクションでは、より現実的な回復の見通しを整理します。
時間が経っても性格の変化が続く理由——待つだけでは動かないもの
「時間が解決してくれる」という言葉を信じて待ち続けているのに、変化が続いている…
その理由は、グリーフのプロセスが動いていないからです。
悲嘆研究者のウィリアム・ウォーデンは、グリーフの回復を「自然に起きるもの」ではなく「課題を能動的に処理するプロセス」として説明しています。
中絶後の場合、「悲しんでいい喪失かどうか」が曖昧なために感情の処理が始まらず、時間だけが経過するケースが多いです。
変化が続くのは、処理が止まっているサインであり、回復が不可能なサインではありません。
回復とは「元の自分に戻ること」ではなく「変化の意味を理解すること」
「元の自分に戻ること」を回復の目標にすると、戻れない自分を責め続けることになります。
より現実的な回復の姿は、「変化した自分と、その理由を理解した上で日常を送れる状態になること」です。
体験は消えませんが、体験との関係は変わります。
「あの経験が自分をこう変えた」と理解できた時、変化は「性格の悪化」ではなく「心が通過してきた道」として捉え直せます。この視点の転換が、自己批判を手放す最初の一歩になります。
一人で処理しなくていい!専門家に話すことで動き出すもの
「専門家に相談するほど深刻ではないかもしれない」という躊躇は多くの人が感じますが、心理的支援は重症者だけのためにあるものではありません。
トラウマに特化した心理療法としては、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)や認知処理療法(CPT)が中絶後のPTSS(心的外傷後ストレス症状)に有効とされています(Kip et al., 2013)。一人では動かせなかった感情が、安全な環境での対話によって処理され始めることがあります。「話す価値のある苦しさかどうか」を確かめる場所ではなく、話すこと自体が回復のプロセスである場所として、専門家への相談を位置づけてください。
中絶後に別れる確率が高いのは性格が変わるから?

中絶後にパートナーとの関係が変化する、
あるいは別れに至るカップルは少なくありません。
その背景には、同じ体験に対する感情の処理の速度と方法の違いがあります。
このセクションでは、関係が変わるメカニズムと、別れるケース・続くケースの分岐点を整理します。
中絶後に別れやすい理由|感じ方の違いが生む「温度差」のメカニズム
中絶後に別れやすい理由は、どちらかが悪いのではなく、同じ体験への感情的な反応速度が異なることにあります。
一方がまだ悲しみや混乱の中にいる時期に、もう一方が「前に進もう」と振る舞うことで、深刻な孤立感が生まれます。
この温度差は、性格の問題ではなく、男女で異なりやすいグリーフの処理パターンから生じることが多いです。
研究者のケネス・ドカは、感情を内に抱えて行動で対処しようとする「直観的悲嘆」と「道具的悲嘆」の違いを指摘しています。
そして、これはどちらが正しいわけでもないとしています。
※Intuitive–instrumental grief
中絶後の男性心理|なぜ「もう終わったこと」と言えてしまうのか?
「もう終わったことだから、前向きに行こう」という言葉を彼氏から言われた経験がある人は少なくありません。
この言葉が深く傷つく理由は、女性にとってまだ終わっていないからです。
身体的な体験を共有していないこと
「問題を解決しようとする」という心理的傾向がある
からです。
これは冷たさや無関心ではなく、グリーフの処理方法の違いによるものです。
ただし、その言葉が相手に与える孤独感は現実のものであり、関係に深い傷を残します。
中絶後、別れるカップルと付き合い続けるカップルの違い
中絶後に別れるカップルと付き合い続けるカップルの分岐点は、「体験について話し合えたかどうか」にあることが多いです。
体験を共有していても、感情を言語化して伝え合う機会がなかった場合、すれ違いは蓄積されます。
付き合い続けるカップルの多くは、「同じように悲しめなくても、相手が悲しんでいることを認めた」という経験を持っています。
感情の処理速度が違っても、相手の苦しさを否定しないことが関係を維持する最低限の条件になります。
どちらが正しいかではなく、どちらの感情も存在していいと認め合えるかどうかが、分岐点です。
彼氏に「分かってもらえなかった」という孤独が中絶後に性格が変わる原因
中絶後の苦しさを彼氏や家族に話しても、
「もう終わったことだから」
「気にしすぎ」
と返された経験は、元のトラウマの上に「孤独」という別の傷を重ねます。
この「分かってもらえなかった」という体験は、対人不信・関係回避・感情の鈍化をさらに強める要因になります。
性格が変わったと感じる変化の一部は、体験そのものではなく、その後の孤立体験が積み重なって形成されているケースも少なくありません。
孤独の傷を扱わない限り、性格の変化も動きにくいです。
二度と同じ経験を繰り返さないために避妊について考え直そう

「また同じことになったら…」
という恐れは、中絶後に多くの人が抱える感情です。
その恐れを否定するのではなく、「自分に何ができるか」を考えることが、具体的な安心につながります。
このセクションでは、避妊の主導権を自分で持つという選択肢を整理します。
「また同じことになったら」という恐れを行動に変えるために
中絶後、性行為や妊娠そのものへの恐れが生まれることは珍しくありません。
「また同じ経験をしたくない」という感情は、自然な防衛反応です。
この恐れは「乗り越えるべきもの」ではなく、「自分が安心できる環境と手段を整えるためのシグナル」として受け取ることが大切です。
恐れを抱えたまま何も変えなければ、不安は消えません。
一方で、避妊の手段を自分でコントロールできる状態を作ることは、恐れを具体的な安心に変える最も現実的な方法のひとつです。
低用量ピルという選択は避妊の主導権を自分で持つということ
低用量ピル(OC:経口避妊薬)は、正しく服用した場合の避妊成功率が99.7%以上とされています。
コンドームのみに頼る場合(一般的な使用で約85〜90%)と比較して、はるかに確実な避妊手段です。
ピルを選ぶことは、「また同じ経験をしない」ための主導権を自分に取り戻す行為です。
彼氏の協力に依存せず、自分の体のサイクルを自分でコントロールできる状態を作ることは、精神的な安定にも直結します。
婦人科での処方が必要ですが、現在はオンライン診療でも処方を受けられます。
「また同じ経験をしたくない」という気持ちがあるなら、一度検討する価値のある選択肢です。
【まとめ】中絶後、自分の性格が変わったことを責めなくていい
中絶後に性格が変わったと感じるのは、意志が弱いからでも、おかしいからでもありません。
脳と神経系が体験に正直に反応した結果であり、心がまだ処理の途中にあるサインです。
怒りっぽくなった、
無気力になった、
人を避けるようになった
どの変化も、あなたの心が自分を守ろうとしている証拠です。
回復の目標は「元に戻ること」ではなく、「変化の意味を理解した上で、自分と付き合えるようになること」です。
その一歩は、一人で踏み出さなくていいです。
専門家に話すこと、
彼氏と感情を共有すること、
あるいは自分の体の主導権を取り戻す手段を整えること。
どれも、あなたが選んでいい選択肢です。
変わった自分を責めなくていい。そして、一人で抱えなくていいです。
「ピルってなんだか怖いよね…」 いくらピルが ・生理を遅らせたり早めたりできる ・生理痛を緩和できる ・望まない妊娠を回避できる ことがわかっていても、やっぱり多くの女性はそんな不安を抱えています。 でも、そ …







