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女性医学専門家による新知見 エクオールを作れない女性のPMS(月経前症候群)リスクは約2.4倍

2016年11月11日
「ホルモンケア推進プロジェクト」事務局
(ブルーカレント・ジャパン株式会社) 内)


生理前のイライラ、気分の落ち込みによる経済損失は
なんと年間一兆円!?
鍵は腸内成分“エクオール” 女性医学専門家による新知見
エクオールを作れない女性のPMS(月経前症候群)リスクは約2.4倍


 

月経が近づくと、なぜか気持ちが落ち込む、イライラが止まらない。体が重く、仕事や家事に身が入らない…女性であれば、程度の差こそあれ、誰しもが経験します。これはPMS(Premenstrual Syndrome:月経前症候群)と呼ばれる、月経前に起こる様々な心身の不調の一例。約8~9割の女性がPMSに悩んでいるという調査もあり、そのうち2人に1人は「PMSの諸症状によって仕事の効率や生産性、家事に影響が及んでいる」と回答しています。また、約2~3割が「社会的な活動に支障をきたしている」 「家族や職場の人間関係に問題が生じている」と答えるなど、PMSの影響は、本人だけでなく家族や職場の人間関係にも及んでいます。
この度、近畿大学東洋医学研究所所長、女性医学部門教授の武田卓氏と大塚製薬株式会社の共同研究により、PMS症状緩和には、腸内で産生される「エクオール」が重要な関係があることが分かりました。

 

武田卓 氏
(近畿大学東洋医学研究所所長、女性医学部門教授、東北大学医学部産婦人科客員教授)
学 位:博士(医学)
専 門:漢方医学、産婦人科学
研究内容:漢方・産婦人科・腫瘍・内分泌の専門医として、女性のヘルスケア全般を西洋・東洋医学の両面から研究しています。特に、心身症(更年期・PMS)、がん患者愁訴、冷え症、子宮筋腫、女性アスリートのヘルスケアについてです。

■日本人女性は欧米と比較してPMS患者が少ないと言われるも、180万人が未治療。
「社会の無理解」という実態

武田教授の調査によると、日本人女性のPMS重症度は成人と比較して、高校生のほうが重症度は高いとのこと。しかし、成人女性の約180万人がPMSを未治療のままにしている(※1) ということも判明。
欧米のデータ (※2)をみてみると、日本人と比較して約4倍程度とPMS患者が多い一方で、「女性とPMS」に対しての理解度も高く、研究や啓発も進んでいると言えます。例えば、アメリカでは女性がボーイフレンドや夫に“I’m PMSing”(いま、PMSの最中だから)というと、言われた男性は、その意味や症状が分かるほど、男性からもPMSの症状等について認知されているそうです。


■PMSによる経済損失は年間約1兆円! 約6割の女性が「昇格断念」を検討も…

アメリカでの調査によると、PMSによる生産性低下を経済損失として算出すると、女性一人当たり年間で4,000ドル(日本円にして約50万円)以上(※3) になることが分かりました。この数値を基に、日本に当てはめて算出すると、年間約1兆円の経済損失が生じていることになります。また、武田教授が宮城県仙台市内の高校4校で調査(※4) したところ、「月に1日以上欠席」してしまう生徒が11.9%という結果に。明らかに、PMSが女性の健やかな生活を脅かしていることが分かりました。

現在、日本では安倍晋三総理大臣の旗振りのもと、「すべての女性が輝く社会づくり」と推進し、女性の役員・管理職の増加を提唱しています。しかし、ホルモンケア推進プロジェクトの調査によると、「管理職や責任のある仕事への昇進を打診されたが辞退した」という人が253人中17%もおり、辞退を考えた人も合わせると62.5%にのぼりました。女性の社会進出を推進する上で、PMSや女性ホルモンについての理解促進は重要であると言えます。

 

■PMSにイソフラボンは有効!その中でも近年注目されている、
日本人女性の半数しか生成できないスーパーイソフラボン「エクオール」とは?

PMSの原因のひとつとして考えられるのが、女性ホルモンの「エストロゲン」の低下。エストロゲンとは、女性らしさをつくるホルモンで、乳房や子宮に働きかけます。また、自律神経のバランスを整えるなど、女性にとって重要なホルモンといえます。
このエストロゲンと似た働きがあるのが、「イソフラボン」。イソフラボンが、女性にとって良い効果が期待できる成分というのは、数年前から言われており、女性たちの間で認知度も高いのは事実です。また、月経周期中の女性ホルモンゆらぎ期の緩和させる働きがあるという研究報告もあります。しかし、研究が進むにつれ、イソフラボンの恩恵に預かれる人と、そうでない人がいることが分かってきました。
そもそも、大豆に含まれるイソフラボンには、主にダイゼイン・ゲニステイン・グリシテインの3種類があり、その中のダイゼインが、ある腸内細菌によって代謝されると、「エクオール」という成分が産生されます。このエクオールは、エストロゲンと似たような働きをしてくれます。イソフラボンが女性に良いといわれているのも、このダイゼインのおかげなのです。

しかし、このエクオールは、全ての人が体内で生成できるわけではないのです。エクオールを作れる腸内細菌を持っている人は、日本人で約50%しかおらず、2人に1人は体内でエクオールが作れないということが報告されています。

どんな腸内細菌が、どれくらいの割合で腸の中に棲んでいるかは、人によって異なります。そもそも腸内細菌は、母親から引き継がれるものもありますが、その多くは普段の食生活によって、左右されます。そのため、大豆を多く摂取する習慣のあるアジア圏と比較し、その習慣がない欧米圏では、エクオールを生成できる人は3割程度と、かなり低い数値になっています。また、食生活が欧米化している日本の若年層では、他の世代と比較し、エクオール生成可能者は減少しているというデータもあるため、普段の食生活が重要な鍵となっているのではないでしょうか。

■新知見!エクオール非産生者はPMSリスクが2.4倍!
エクオールがPMSにもたらす影響とは?

女性の不調にとって重要な鍵となる「エクオール」。近年では様々な研究がなされていますが、武田教授は、大塚製薬株式会社と共同で「月経関連症状とエクオール産生能との関連性評価」(※5) について研究を進める中で、エクオールがPMS症状緩和に関係しているということを世界で初めて突き止めました。

武田教授と大塚製薬株式会社の共同研究では、PMS治療中患者と一般公募者で、大豆食品を食べた後の尿中のエクオールを判定し、産生者の割合を比較したところ、一般公募者が全体の41.8%に対し、PMS治療中患者は23.9%と、1.7倍差があることが分かりました。この結果により、PMS症状緩和とエクオール産生には関係があることが、推測されます。また、エクオール非産生者は産生者と比較し、PMSリスクが約2.4倍になるということも判明しました。

この研究結果により、PMS症状緩和にはエクオールが大きく関係しており、PMS症状緩和のためには、エクオールの摂取が効果的である可能性が高まってきました。

■ホルモンケアには「知る」ことが重要!男女分け隔てなく、「PMS」への理解を
PMSが職場や学校などでの生活に及ぼす影響などについては、まだまだ理解されていないことが多く、生理前の女性の体調不良に関して「やる気が足りない」「体調管理がなっていない」と評価されてしまうケースも多いと思われます。
しかし近年、この女性特有の体調不良に関して原因、メカニズムを社員へのセミナー等で啓発し、女性がより働きやすく勤務をコントロールできる環境作りを意識している企業も増えてきています。
男性や、PMSの症状が軽い女性たちも含め、PMSの及ぼす影響について理解できるよう企業や個人が取り組むことも、女性の社会進出、女性による経済創出を後押しする大切な努力といえます。

 

■自身で出来る「ホルモンケア対策」
まずは以下、4つの観点からセルフチェックし、自身のからだについて知ってみましょう。
① 月経周期の記録 ②基礎体温の測定 ③出来事の記録 ④エクオール産生能力の確認
エクオール産生能力は、郵送による尿検査(ソイチェック)で確認できます。これは、腸内細菌叢(さいきんそう)と大きく関わっていると考えられ、その産生能力はこれまでの生活習慣によって決まるといわれています。

次に、日々の食生活で対策をして見ましょう。ポイントはバランスの良い食事に、+3栄養素、①エクオール(イソフラボン) ②乳酸菌 ③食物繊維を摂取することを心がけましょう。
ある種の腸内細菌の働きによって、大豆イソフラボンはエクオールに変換されます。イソフラボンの他、腸内環境を整える栄養素も一緒に摂取することが重要と考えられています。

・エクオール産生能力がある場合
大豆製品を毎日摂取しましょう1日の摂取量の目安:豆腐2/3丁、納豆1パック程度、豆乳200cc
ただし、その日の体調により腸内細菌は毎日変化するため、産生能力が一律ではないこと、さらに、産生されたエクオールは毎日排出されるため、サプリメントの活用も検討しましょう。

・エクオール産生能力がない場合
エクオールを含むサプリメントを活用しましょう

 

■ホルモンケア推進プロジェクトについて

◆設立: 2015年(平成27年)2月

◆活動内容:

 1.WEBサイトによるホルモンケアに関する情報発信

 2.女性を対象としたセミナー及び個別相談会「ホルケア(ホルモンケア)トレーニング」の実施

 3.男性向けに、女性ホルモンに関するセミナーの実施

 4.企業向けセミナー「ホルケアサロン」の実施

◆協賛・協力: 大塚製薬株式会社、株式会社エイチーム、株式会社ヘルスケアシステムズ、日本航空健康保険組合

◆URL: http://hormonecare-pj.net/

 


※1…T. Takeda. et al., Arch Womens Ment Health 2006

※2…The canadian sample was derived from Steiner et al. (2003).

※3… Journal of Occupational & Environmental Medicine:
January 2005 - Volume 47 - Issue 1 - pp 26-33 Estimating Direct and Indirect Costs of Premenstrual Syndrome

※4…論文投稿中

※5…調査実施時期…2015年5月13日~9月30日