管理栄養士が教えるエクオールの重要性
大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されて産生される成分エクオール。
女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」によく似た働きをするものとして知られています。 このエクオールに関しての様々な疑問・質問を管理栄養士で株式会社エビータの代表取締役である浅野まみこさんが分かりやすく解説いたします。
浅野まみこプロフィール

総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて糖尿病の行動変容理論をベースに1万8千人以上の栄養相談を実施。その経験を生かし、現在は、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ講演、イベントなど多方面で活躍中。銀座飲食店のヘルシーメニューの考案や品川駅やコンビニにて「管理栄養士浅野まみこ監修47品川駅弁当」のプロデュースをはじめ、NHK「おはよう日本」、NHK「オトナへのベル」、フジテレビ「バイキング」など、メディアや雑誌に多数出演。「食生活が楽しいと人生が100倍楽しい!」をモットーに活動をしている。著書に草思社「コンビニ食・外食」で健康になる方法。アスコム「血糖値あがらないのはどっち?」など。夕刊フジなど、連載コラムをもつ。
1.エクオールが女性に大切な理由
エクオールは女性の健康と美容において様々な働きをします。特に「エクオール10mg」の摂取で、様々な更年期症状(特にホットフラッシュや発汗、肩こりなど)の軽減に役立つといわれています。

そのほか、骨粗しょう病の予防、メタボの解消、動脈硬化のリスク軽減に効果があるとされ、PMS(月経前症候群)の症状にも期待されています。 このようなメリットはエクオールが加齢と共に失われていく「エストロゲン」とよく似た働きをしてくれるからです。更年期症状の改善には“1日エクオール10mgが目安”ということを覚えておきましょう。
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エストロゲンには肌のコラーゲン産生を促す働きがあるため、エストロゲン量が激減する更年期に入ると、肌が乾燥してたるみやすくなってしまいます。 目尻のシワに注目して12週間にわたる試験を行った結果、エクオールの摂取でシワの面積や深さの進展が抑えられたことが明らかになっています。
2.エクオールの作られ方

エクオールは、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインが腸内細菌の働きによって変換されて産生されます。よく「女性ホルモンには大豆イソフラボンが良いので大豆製品を食べるように」と言われるのは、実はこの「エクオール」が作用しているからです。
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エクオールを作る腸内菌は一般的に「エクオール産生菌」と呼ばれ、いくつか種類がありますが、注目すべきは「ラクトコッカス20-92」と呼ばれる乳酸菌。「ラクトコッカス20-92」は大豆イソフラボンに含まれる「ダイゼイン」をほぼ100%の確率でエクオールに返還させるという優れた菌なのです。
3.日本人の約半分しか産生できない
大豆イソフラボンを「エクオール」に変換させる腸内細菌を持つ人は日本人の約半分しかいないことが分かっています。特に最近の若年齢層は高年齢層より、エクオールを産生できる割合は少ないと報告されています。原因として食生活の変化によるものではないかと言われています。 体内で産生できない人は大豆イソフラボンサプリで補おうとしてもその効果を実感しにくく、また閉経後の更年期症状(ホットフラッシュや発汗など)も産生できない人のほうが「重い」というデータもあります。 産生できたとしても、エクオールは体に蓄積する事ができず、尿と一緒に排泄されますので、毎日大豆製品を摂り続ける必要があります。
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エクオール産生できる人・できない人の違いについて、詳しいことはまだわかっていませんが、国民健康・栄養調査による「正年齢別の豆類平均摂取量の比較」のグラフからも推測されるように、食生活の変化が原因のひとつではないかと考えられています。
4.エクオールを作れるか作れないかを知る方法
「自分がエクオールを作れる体なのか」と気になりますよね?実は「エクオールを作れるか作れないか」を調べられる便利なものがあります。それが「ソイチェック」です。
【どうしてソイチェックで分かるのか】
【産生できる人も油断禁物】
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5.腸内環境を見直して、食生活を改善
大豆製品を積極的に食べるだけでなく、同時に重要なのが善玉菌優位の腸内環境を整えることです。環境維持にあたって、腸内細菌比率で善玉菌を悪玉菌の約2倍程度を保つ必要があるとされています。 エクオールを産生させる腸内菌がいないと大豆製品を摂っても損をすることになります。また、腸内環境を整える前に食生活の見直しや日々のストレスケアなどを行い、体づくりを行う事から始めましょう。 食生活を見直す場合、「決められた時間に食べる」ことがとても大切です。人間には体内時計があり朝昼晩の体のリズムを作っています。 この時計に逆らって食事を摂るよりタイミングをあわせた食事を摂るだけでも体は整っていきます。
腸内環境が整ったら、大豆イソフラボンのようなエクオール産生に適した栄養素の摂取を意識しましょう。 その際に、栄養バランスも考えて摂ることも重要です。麺類やお米などの炭水化物中心の食事に偏りがちですが、魚や大豆製品などの良質なたんぱく質に加え、野菜も多く摂ることを心がけてください。 さらにプラスしたいのが「乳酸菌」と「食物繊維」です。「乳酸菌」は腸の善玉菌を増やし、腸内環境を整えるスーパーマン。その乳酸菌のエサとなるのが「食物繊維」です。 お腹が減っては動けないのは腸内細菌も一緒。「食物繊維」を摂ることで乳酸菌の効果は更に期待できます。その他にも、悪玉菌や病原菌の増殖を抑え、善玉菌優位の腸内バランスを保つために、「ビフィズス菌」の摂取も意識するとよいでしょう。
エクオールを意識した食事例
・エクオール産生菌のエサとなる食物繊維(きのこ、果物、海藻、芋類、野菜全般 など)
・エクオール産生菌を整える乳酸菌(チーズ、キムチ、塩辛、ヨーグルト、牛乳 など)
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番外編:知っておきたい様々な更年期症状
「歳をとったからいろいろ体にガタがきている」という思いで我慢している不調、実は更年期症状かもしれません。 更年期症状の代表的な諸症状を記載しますので当てはまるものがありましたら、「エクオール」を意識した毎日を過ごす事で対策できるかもしれません。 あなたもチェックしてみてください。
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